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廃墟の周りは、相変わらず雑草で覆われており、人影なんて1つもない。
雑草をかき分け、廃墟の入り口の前に立つ。
扉の取手は錆びており、今にも壊れてしまいそうな状態だ。
入り口の扉を開けた近くには、棚や椅子が置かれており、埃がかぶっている。
数年間放っておかれれば、そうなるだろう。
しかし、地面だけは違った。
入り口からまっすぐ中央へ伸びるように、足跡がついている。
その足跡に吸い込まれるように、僕の足は中へと進んでいく。
いくつかの扉を開けて、廃墟の中心へと向かう。
1つ扉を開けるごとに、自分の心拍数があがっていくのが分かる。
あの悪夢が脳裏に駆け巡り、冷や汗が止まらない。
5つ目の扉をくぐり、僕は1番広い部屋の扉前で立ち止まった。
いや。立ち止まったというよりは、進みたくなかった。
”このドアを開けてはいけない”という警報が頭で鳴り響いているから。
できることならば、このまま背を向けて歩いてきた道を戻りたい。
けれど、開けなければ何もわからない・・・。
何も・・・、終わらない。
呼吸が荒くなる。
汗ばむ手でノブを握り、そろりと開けた。
・・・・・キィ・・・・・
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