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扉を開けると、そこは悪夢と同じ光景が広がっていた。
地面が赤く色づき、その中心に横たわる身体。
その身体が誰なのか、近づかなくても分かる。
僕が探していた人、親友・・・・・、霧夜。
僕は、近くこともできず、立ち尽くしていた。
パニックに陥ってもおかしくない状況なのに、意外と頭の中は冷静だ。
いや、驚くことはないのかもしれない。
だって、同じ光景を何度も繰り返して見ているから・・・。
ポケットからスマートフォンを取り出し、警察に電話をする。
「すみません。●●小学校の近くにある廃墟に、行方不明となっていた少年がいます。」
そう用件だけ言い電話を切り、スマートフォンを床に叩きつけた。
そして、部屋の中心で横たわっている霧夜の身体に近づき、そっと身体を抱き締めた。
その後の事は殆ど覚えていない。
警察で色々聞かれたようだけれど、何を聞かれたのかも答えたのかも分からない。
覚えているのは、”霧夜”という存在を失ったあの場所だけ。
・・・・いや、失ったのではなく、手に入れたんだ。
この手で霧夜の未来を奪い、僕以外の人と結ばれることもなく、新しい生命を紡ぐこともない。
ずっと・・・永遠に僕の傍に居る。
愛しい、愛しい、霧夜。
”君は永遠に僕のモノ・・・”
-END-
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