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あたりまえだが竜貨は持ち主の意志などくみ取ることも無く
本人たちが望まぬ未来を定める。
その決定を変えるのも竜貨のみであるが同じ事柄について条件を加えたり減らしたりしようが3度までである。
竜貨で3度続けて負けするのはすなわち
「……………竜の導きだ、諦めろ。」
その場に重苦しい空気が流れていた。
俺の護衛と転移の間の見張りである竜人は沈痛な眼差しで俺を見ている。
そして自称俺の婚約者であるらしい竜人は助けを求めるように自分の手の甲にのった竜貨と俺を交互に見てオロオロしている。
やめろ、その龍人らしからぬ間抜けな顔で俺を見上げるのは
タイミングを見計らったように現れた俺の婚約者。
ジジィの名前は知っているようだが竜の墓場は条件を満たさないものが簡単に行きつける場所ではないし本人がそこから来たと言ってるだけで証拠もない
ジジィに確認しようにも竜の墓場は特殊な磁場により連絡ができないのだ。
本当にジジィがこいつを俺に送りつけたのだとしたら
不審者きわまりない弱そうな竜人を俺の婚約者にするその意図は?
何を企んでやがる
そもそも竜の墓場から転移などありえるのか?
聞いたこともないぞ。
今はそれどころでは無いというのに迷惑な。
考えたところで変えられないことが1つだけある
「へ?ッツ!ぅわっわぁあ、、な、な、なに?!……!!」
片手で持ち上げた体の軽さに眉をしかめたユンファと
服の襟をつかまれて足がつかないくらいに持ち上げられユンファと目があえば小動物のように小刻みに震えて押し黙る姿を見つめたまま言う
「よろしくな、婚約者殿。」
こうして名前も知らぬ自称俺の婚約者は俺の本当の婚約者になったのだった。
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