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01
愛されたくない。愛されたくない。愛されたくない。
俺は愛なんて、そんな汚い感情、受け付けられない。
この体が愛で満たされるなんて、嫌だ。おぞ気がはしる。鳥肌が立つ、
想像しただけでも涙がこぼれて、吐き気がとまらない。
だって、愛があったから、僕の両親はお互い浮気しあった。
再婚の邪魔になる僕を捨てたんだ。
愛があったから、僕の彼女だった人は他の男を愛したのだから。
彼女は愛した分だけ、僕を憎んだ。
最初から愛なんてなければ、そもそも苦しまなかったのに。
今の俺がこんな事にならずにすんだのに。
「ブヒぃっ、ブヒぃっ」
愛さたい。愛されたい。愛されたい。
あの人に、どうしても愛されたい。
愛して、愛して、愛しつくされたい。
私だけをその瞳に入れて、私だけに話しかけて、私だけに触れて。
私は愛されるために、惚れ薬を作る事にした。
私は魔女。
しかも天才の魔女。
だから、頑張ればどんな薬だって作れる。
でも、どんな優れた薬も、材料が無ければ作れない。
天才だとしても、無から唐突に有を作り出すことができないのだ。
私は、惚れ薬をつくらうために材料を探すことにした。
寒気がした。
愛が呼んでいる。
愛がやってこようとしている。
愛が僕を求めている。
なぜ? どうして。
要らない人のもとに愛なんかがやってくるんだよ。
僕はその愛を拒絶した。
でも愛は無敵だった。
愛は不適だった。
愛は大胆だった。
愛は強大だった。
逃げても逃げても、愛は追いかけてくる。
やっと材料を手に入れた。
この薬があれば、きっと誰もが私を愛してくれるはず。
あの彼も、私を愛してくれるはず。
かつて捨てたことがあったけど、そんな小さなこと、水に流してくれるはずわよね?
やっぱり彼が一番だったのよ。
彼こそが私を愛してくれる存在。
愛を知らないで育ったわけありの彼なら、他の人も近づこうとしない。
だから、絶対浮気なんてしない、誰かに新たに惚れ薬をかがされる事もない。
私には、そんな彼が必要なの。
だから、彼を手に入れるために、この捕まえた材料を早く薬にしてしまわないと。
「ブヒぃっ、ブヒぃっ、ブヒぃ!」
ぐつぐつぐつぐつ。
「ブヒぃぃぃっ!」
できた。
さて、彼に会いにいきましょう。
そういえば最後、彼と別れた時の私は何をしたんだったかしら。
あの時の彼が必死に私をひきとめようとしてたから、あまりにもその姿が滑稽すぎて、聞くに堪えない彼の言葉を耳にしたくないとおもったの。だから、別れ際に何か魔法を使ったのよね。
私の目の前には、きれいな液体で満たされた小瓶。
さあ、彼に会いにいかなくっちゃ。
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