始まり

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始まり

「ご飯ー!ちょっと!聞いてる!?優輝(ゆうき)美月(みつき)!」  母さんの声で目を覚ます。 「……やっべ。寝て……た」  起き上がってあくびをして、ぼーっとする頭では何も考えられず、俺はベッドの上でただあぐらをかいてじっとしていた。 「優輝!ご飯だって!……何?寝てた訳?」  双子の妹の美月がドアを開けて俺の姿を確認して目を細める。 「……起きてんじゃねぇか」 「さっきまで寝てたでしょ」 「は?適当言ってんじゃ……」 「まだ学ランだし、頭寝癖付いてる」  言われて頭に手をやると、確かに右の髪がハネていた。  ……ちっ、面倒くせぇ。  ま、飯食って風呂入って寝るだけだし……いっか。  再び出たあくびをして目を開けると、目の前には腕を組んで立っている母さん。 「まだ制服。何してんのよ、あんたは」  ぐいっと耳を引っ張られて俺は「いってーーぇっ!!」って叫ぶ。 「……ただいま。下に誰も居ないと思ったら……何してるんだ?」  父さんが笑いながらネクタイを外していた。 「あ、お帰り!優輝ったら制服着たままで寝てたみたいなのよ」 「学校から帰って来たら眠くなるよなぁ……わかる!まぁ、授業中でも眠くなるけどなぁ」  ワイシャツのボタンも外しながら頷く父さんを 「優介(ゆうすけ)!」  母さんがピシャリと黙らせる。  父さんは苦笑いをして「着替えてくるなぁ」って自分の部屋に入って行った。
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