始まり

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「あ!これ、うまっ!」  にこにこ笑いながら、な?と俺らに同意を求めてくる父さん。 「「うん」」  美月とハモってしまって、俺たちはお互いに反対の方を向く。 「ははっ!やっぱり双子なんだなぁ」  笑う父さんを見て 「やめて。優輝と一緒とか本当、嫌」  美月は即、叩き斬った。 「俺だって。航馬(こうま)の奴、こんなんとよく付き合ってるよな」 「はぁ!?」 「やめなさい!」  母さんの一言で俺らは黙る。 「優介が余計なこと言うから」  ギロリと母さんが父さんを睨んだ。 「え?俺?」 「何?」 「……ごめんなさい」  本当、父さんはすぐに母さんに謝る。  ガンッと言えばいいのに。 「何か航馬くんの名前聞いたら久々に大賀(たいが)に会いたくなるな」  ビールを飲みながらへにゃりと笑う父さん。 「ん?今日も元気だったけど?」  父さんの手から缶を奪って母さんもゴクゴクと喉を鳴らした。 「会ったのかよ」 「今日、大賀が買いに来たからね」  母さんはコーヒーショップで働いている。 「美奈(みな)だけズルい」  父さんがちょっとムッとすると、母さんはその手にビールを返してフッと笑った。
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