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諦めたはずの二度目の恋。
俺は未練がましく気が付けば志摩を目で追っていた。
このままでは仕事にならない。
気持ちを切り替える為に、休憩と称して屋上に上りたばこを燻らせる。
情けないな…。
俺はもっと物分かりのいい性格だと思っていた。
日下の時は辛く悲しかったけどそれはいずれ時間が解決してくれる類の物だ。
しかし、今のこの気持は少し違っていた。いくら時間が経過したとしてもこの痛みは癒える気がしない。
出来上がった関係を壊すべきじゃないなんて恰好つけた事思ってたくせに志摩の事を諦める事が出来ないでいる。
「あの日俺たちキスしましたよね」って言ってしまいたくなる。
志摩をあの男から奪って、あの男より愛して、あの男より大事にして、あの男より…。
あぁ、もう末期だ。
吐き出す煙と一緒に志摩への気持ちも出て行ってしまえばいいのに。
空に消えていく煙を見ながらそう思った。
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