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相方と二人、休日の遅い朝食を食べていた時の事。
何とはなしに見ていたテレビに、小さな神社が映っていた。
岩壁を背にした小さな社。蛇神様が祀られていて、金運だか出世だかのご利益があるとか。
…ざわり。
背筋に、イヤな感覚が走った。
レポーターの明るい声とは真逆の、闇の気配。
俺より霊感の強い相方は、血の気の引いた顔に脂汗をにじませて画面を見つめている。
「……痛い…。」
相方の呟きで、同じものを視ていると知った。
岩壁の更に奥。鉄の楔で縫い留められた、大きな白い蛇の姿を。
蛇神様を留めておく為には、楔を打つ事しか思いつかなかったのだろう。
そしてそれは、何時しか忘れられて行く。
祀られているのは確か。
大切にされているのは確か。
だから蛇神様も、人々の願いを聞き続けて来た。身を裂く痛みに耐えながら。
「助けて、って聞こえた。俺の気のせいか?」
相方が静かに首を振る。
「限界なんだよ。もう…。」
「レディに助けを求められて、放っとくわけにはいかないよな?」
俺の言いぐさに、相方は笑みをこぼした。
「出来る?」
「やるさ。」
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