怠惰の竜、決断する

1/11
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

怠惰の竜、決断する

「……ねむい」  まだ夢の世界に旅立っていた状況下、家の外から気配を察知したことで、この家の家主……アーチェディアは、目を覚ました。  眠そうな目を擦りながらも久々の来客だな、と少々以上に面倒な予感を半ば感じつつ、そもそもうちへやって来ることの出来る存在自体が片手で収まるほどしか居ないのと、外から感じたひどく懐かしい気配を嗅ぎ取ると、換装の魔法により手早く着替えながらも来客に対応すべく、やむなく外へ出た。  玄関前に居たのは、やはり見知った顔……当時はまだ幼かった顔も、今ではすっかり精悍な顔つきとなった、もう5年ほど前に出ていった彼だった。  彼はアーチェディア……アーチェの姿を見るなり、かつてのアーチェに甘えていた時のような満面な笑みを浮かべた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!