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「それは私が悪魔だって知っての頼み?」
世間一般で知られているアーチェの認識を伝えることで、彼らの心理を揺さぶる。
普通の人なら、アーチェという存在を知っていればまず頼ることもないだろう。
「母上は前に言ってましたよね? 七つの大罪は種族柄の悪魔ではない、と」
かなり前に言ったことだが、覚えていたのかとアーチェは嘆息した。
この世界において、七つの大罪と呼ばれる世界でも絶対不可侵と呼ばれる7体が存在する。
彼らの所有する権能から自然とそう呼ばれるようになったうちの1人に、アーチェも含まれていた。
七つの大罪といえば、誰もが悪魔を想起することだろう。
その常識も一般的にはこの世界においても通用する……のだが、それはあくまで一般的な話。
真実在は、七つの大罪とはそれに因んだ権能を持つ世界でたった1人、もしくは1体しか持ちえない7つの権能を持ちうる者たちのことで、今でこそ人の姿で家を持ちながら過ごしているが、アーチェの本当の種族は悪魔などというものではなく……この世界でも生態系という枠組みを超えて頂点に位置する種族、ドラゴンである。
加えてドラゴンの中でも最高位に位置するアーチェは権能の能力も加えると単体で世界を滅ぼすことが出来る程の力を持つ。
それ故、あらゆる存在はアーチェに近付こうともしないし、認識した瞬間に逃げ出してしまう。
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