序章

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「親父。入るよ。」 組の屋敷にある、ある一室。 そこは父であり、この蒼龍組を仕切る 組長・蒼寺隼人の部屋になっている。 「陸。どうした。」 「…折り入ってお願いがあります。父さん」 「…何だ、改って。」 「…守りたい物ができました。」 「……陸。」 「守りたい場所ができました。」 あの日。言っていた爺さん。 いつか守りたい物ができる、と。 できてしまった。 恋人とかではない。 家族。 「……はぁ。」 「……」 「昔、爺さんにも言ったが…俺は… 正直お前にこの道に入ってほしくないんだ」 「…分かってる。」 「…分かってても…継ぐってか?」 「ああ。」 「そうか、わかったよ。若頭。」 「!!!!」 「…ただ。一つ。約束しろ。」 ゴクリ、と唾を飲む 「肩の力は抜け。お前は一人なんかじゃない お前に頼られたい奴が外で心配しながら待ってる。その分お前は…きっと良い極道の若頭に、 なれるよ。」 「、」 その、ひと月後。襲名を受け。俺は 大学卒業までを若頭として、 組の全権を請け負った。 その直後親父は…母さんと二人して ハワイへ隠居を決め込むことにした。 「あはははは!!隼人さんらしいね…」 なんて、お腹を抱えて俺の横で笑うのは… 藤田新(ふじたあらた)。 その横で 「ほんとね…早かったねえ…あっさり 襲名させてその足で宙さんつれてハワイ…」 新の双子の弟・湊司(みなし) 「何とも全てを図ったかのようなやり方で すごーーく癪に触るわあのクソ親父」 「「そう言いつつ尊敬してるもんねえ」」 「うるせえよ。…はぁ。新、湊司。」 「「?」」 「これからもよろしくな。」 「「こちらこそ。」」
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