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時は流れて、大学1年生 春
「よく考えたら、俺、
あの時は高校生だったんだよなぁ。」
あれから時はかなり流れていて
気がつけば、だ。
俺はもう、大学生になっていた。
高3の秋。
あの宣言をして以降
俺はというと
「若、おはようございます」
「あー、葛西。おはよう。」
「葵坊ちゃんから伝言です」
「伝言?」
「陸にい、おはよう、先行くね。
だそうです。」
「…さては照れて先に出たな?」
「ははは、あり得ますね。陽さんはお仕事へ
行かれました、仕事が終わり次第大学へとの
事ですよ。」
「陽にぃは変わらねえな…」
「ええ。」
「…葛西」
「はい。」
「今日も1日。俺のいない組を、頼むよ」
「勿論です。」
「んじゃ、行くかなぁー…」
ちゃりっ、
とバイクのキーを手に取り、弄びながら
「お前ら。」
皆「はい。」
「行ってきます。」
皆「いってらっしゃいませ。」
俺はこの"日常"に慣れてきてしまった
多分、昔からそばにあった光景だからこそ。
違和感なく、染み込むその光景に
苦笑を浮かべながら
屋敷を任せ、
家を出た。
その時の俺には、
この日常に、突然現れる影も光も
予想なんてしないで。
序章 (完)
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