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同じく真顔になったルリに、俺は言った。
「……ルリルリによろしくって。あいつ、俺たちのこと気づいてた」
一瞬の間をおいて、ルリは全てを理解したように顔を引きつらせた。
「いや、でも、九条くん……はいまだに気づいてないし、麻美ちゃんもそんなこと言ってないし、えええええ、でも、喫茶店でそんな素振り、わたしたちしてないよね!?」
「怖いだろ?」
「怖い! あ、でも、カマをかけられただけとか」
「そういう感じじゃ……あ、待った。何かメール来た。九条からだ」
メールを開いた俺は、思わずその場に立ち尽くした。ルリは首を傾げると、俺の携帯を覗き込み、はしゃいだ声を上げた。
「あ、子猫の写真! 可愛い! アメショーだ。この、タイトルのサンテグジュペリって何?」
「猫の名前」
ルリは楽しそうにくすくす笑った。
「ええー、何それ。じゃあ、この子が本当の子猫の王子様だね。っていうか、九条くん、どうしたんだろ。いきなりこんなの送ってきて」
「ここ」
俺が指したところを、ルリが読み上げる。
「猫の王様より、ルリルリへ……って、これ!」
俺は張り付けた笑顔をルリに向けた。
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