猫の王様 ~EP.1 中井くんと猫の王様の話~

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 同じく真顔になったルリに、俺は言った。 「……ルリルリによろしくって。あいつ、俺たちのこと気づいてた」  一瞬の間をおいて、ルリは全てを理解したように顔を引きつらせた。 「いや、でも、九条くん……はいまだに気づいてないし、麻美ちゃんもそんなこと言ってないし、えええええ、でも、喫茶店でそんな素振り、わたしたちしてないよね!?」 「怖いだろ?」 「怖い! あ、でも、カマをかけられただけとか」 「そういう感じじゃ……あ、待った。何かメール来た。九条からだ」  メールを開いた俺は、思わずその場に立ち尽くした。ルリは首を傾げると、俺の携帯を覗き込み、はしゃいだ声を上げた。 「あ、子猫の写真! 可愛い! アメショーだ。この、タイトルのサンテグジュペリって何?」 「猫の名前」  ルリは楽しそうにくすくす笑った。 「ええー、何それ。じゃあ、この子が本当の子猫の王子様だね。っていうか、九条くん、どうしたんだろ。いきなりこんなの送ってきて」 「ここ」  俺が指したところを、ルリが読み上げる。 「猫の王様より、ルリルリへ……って、これ!」  俺は張り付けた笑顔をルリに向けた。
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