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「だから、それどころじゃなかったんだって」
ルリがぷうっと頬を膨らませる。何これマジで可愛いな。
「もう、九条くんに頼んで直接会わせてもらおうかな」
「あ~……、それは無理じゃね?」
「何で?」
「俺、広瀬さんとちょっと話しただけで、九条にめっちゃ睨まれた」
ルリが大きく目を見開く。うん、びっくりした顔も可愛いんだよな。
「あの九条くんが? マジで?」
「マジで。俺、最後、九条から逃げてきたんだぜ。明日、九条の機嫌が直ってなかったら、あいつ、マジで許さねえ」
ぐっと拳を握り締めた俺を見ると、ルリはふ~んと鼻を鳴らした。
「何だよ?」
「べっつにぃ? ま、九条くんは本当に大丈夫みたいだね」
はっきり言ってルリの判断基準は俺にもよくわからないが、ほとんどの場合当たっているから不思議なものだ。
「でも、喫茶店以外で広瀬さんに会うのは、マジでやめたほうがいい」
俺が真顔で言うと、ルリは何故か堪え切れないように唇を緩ませた。
「ええー、まあ、確かに格好いいよね。すごく」
「いや、っていうか、あの人マジ怖い」
「……何か言われた?」
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