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身も蓋もない俺の質問に、九条はますます顔を赤くした。
「ひ、広瀬さんが……一緒にいたいって。こ、恋人として」
「ふぅ~ん……」
明後日の方向を見ながら焼きそばパンを齧りだした俺に気づくと、九条は真っ赤な顔で憤った。
「だから! どうしてそこで急に興味なくすんだよ!」
「何か、そこはかとなくムカついた」
「ムカつかないで!」
妙に切実な声音に、俺は思わず噴き出した。
「あー……、やばい。焼きそばちょっと飛んだ」
「もう、きったないなぁ」
「誰のせいだ、誰の」
顔を見合わせると、今度は二人して笑い出した。取り敢えず気が済むまで笑うと、俺は言った。
「よし、それで? 今度はいつ逢うの? まだ約束とかしてないわけ?」
「え? あの、今日、放課後。広瀬さん、ちょうど仕事休みなんだって。俺もバイトないし。電話じゃなくて、ちゃんと逢いたいって、その、言ってくれて」
すぐに発火する友人を見つめながら、俺はにぃっと笑みの形に唇を歪めた。
「オッケー、俺もちょうどサークル行きたくない気分だから、一緒に行くわ」
「え、いや、何で……」
「一緒に行く」
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