猫の王様 ~EP.1 中井くんと猫の王様の話~

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 マジで昨日とは別人だな。さっきの突然のオーラ放出にも驚いたが、今は目の前にいるのに、存在が儚すぎていつ消えてもおかしくない雰囲気だ。ちゃんとよく見れば昨日と変わらないイケメンなのに、一体どうしてだ。無表情だからか? せっかくのイケボも以前盗み聞きした時と同じ、ぼそぼそした喋り方のせいで聞き取りにくい。間違いなく九条が好きなコミュ障バージョンだが、これのどこがいいのかさっぱりわからん。  ふと、隣から強烈な視線を感じ、俺は九条に目をやった。 「……何だよ?」 「べっつにぃ」  膨れっ面でぷいっと横を向いた友人に、俺はびっくりして目を瞬いた。何? 何なの? つーか、ぷいって何だ。ぷいって。子供か! お前は子供なのか! 「悪いけど」 「はい?」  急に話しかけられ、俺は戸惑い気味に広瀬さんを見た。やばい。目の前にいるのに本気で存在を忘れかけてた。つーか、間近で見るイケメンの無表情、怖い。 「先に少しだけ、九条くんと話してもいい?」 「え、あの、はい」
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