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マジで昨日とは別人だな。さっきの突然のオーラ放出にも驚いたが、今は目の前にいるのに、存在が儚すぎていつ消えてもおかしくない雰囲気だ。ちゃんとよく見れば昨日と変わらないイケメンなのに、一体どうしてだ。無表情だからか? せっかくのイケボも以前盗み聞きした時と同じ、ぼそぼそした喋り方のせいで聞き取りにくい。間違いなく九条が好きなコミュ障バージョンだが、これのどこがいいのかさっぱりわからん。
ふと、隣から強烈な視線を感じ、俺は九条に目をやった。
「……何だよ?」
「べっつにぃ」
膨れっ面でぷいっと横を向いた友人に、俺はびっくりして目を瞬いた。何? 何なの? つーか、ぷいって何だ。ぷいって。子供か! お前は子供なのか!
「悪いけど」
「はい?」
急に話しかけられ、俺は戸惑い気味に広瀬さんを見た。やばい。目の前にいるのに本気で存在を忘れかけてた。つーか、間近で見るイケメンの無表情、怖い。
「先に少しだけ、九条くんと話してもいい?」
「え、あの、はい」
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