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「昨日も言ったけど、電話越しじゃなくて、ちゃんと君の顔を見て言いたかったから」
うえっ、ちょっ、一体何を始める気だよ? 言っとくが、ここは外で公共の場だ。少し離れたところでは老人や母子が平和に散歩している真昼間だよ? にも関わらず、無表情なコミュ障イケメン野郎は、俺の目の前で友人の手を取り、語り始めた。
「昨日、君が店に来てくれて、嬉しかった。本当はもっと、自分が君に相応しくなれたと思えるようになってから、逢いに行きたかった。俺は君よりずっと年上だし、仕事もしてなくて、どうして君がこんな俺のことを好きになってくれたのか、わからない。でも、俺は君と一緒にいた時間、いつも幸せだった。一生懸命で、不器用で、優しい君のおかげで、俺も頑張ろうと思えるようになった。まだ、君には全然敵わないけど、それでも、君と一緒にいたい。君が、もういいと思うまで、俺と、ずっと一緒にいてほしい」
広瀬さんに手を握られたその瞬間から、ただひたすらにその眼差しを見つめ、その言葉に耳を傾けていた九条は、息もできないような顔で、その続きを聞いた。
「君のことが好きです。俺と付き合ってください」
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