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ああ~、うん。これ、後者だったわ。見せつけられるよりはマシだったけど、いくら何でも俺の存在なさすぎじゃね!? 例え無言でも、今のは俺にも聞こえたぞ。てめー、俺のこと見て、誰だっけ? って思っただろ! 九条は九条で、慌てて広瀬さんの後ろに隠れようとしているし。今更恥ずかしがってるんじゃねえよ! 恥ずかしいのはこっちのほうだ!
さすがにイラっとして九条を睨みつけると、広瀬さんが庇うように立ちはだかる。過保護か! まったく、どいつもこいつも……。呆れすぎて怒りも消え失せる始末だ。
「おい、九条……」
話にならん今日は帰る、と思って俺が声をかけたとき、ようやく背中から顔を出そうとした九条の前に、再び広瀬さんが立ちふさがった。
ん?
もう一度、反対側から九条が顔を出そうとすると、やはりすぐに広瀬さんが壁になる。
ん? 何だ? 何が起こってる?
最初はタイミングが合わないのかと思ったが、そうじゃない。広瀬さんがじっと俺を見ているのに気づき、その理由に思い至った。
あ~、何コレ、そういうこと? 無表情のくせにわかりやすすぎだろ! 何かもう、逆に可愛いな!
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