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「要するに、あんたは九条のことを人間扱いしてないってことですか?」
敢えて意地悪な言い方をした俺に、広瀬さんはあっさりと頷いた。
「そうだね。ちなみに今は、君のことも人間扱いしていない」
「なっ……!」
反射的に攻撃態勢を取りかけたものの、隣の男があまりにも穏やかな顔をしているのに気づき、取り敢えず矛を収めた。一つ息を吸い、冷静に尋ねる。
「……あなたにとっての人間扱いって、どうすることですか?」
そうだ。この人は俺の一般的な感覚とは異なる次元で生きている。表面上の言葉に惑わされると、意思の疎通ができないタイプだ。しかも今、こいつは自分の感覚と世間一般の感覚がずれているのを明確にわかっていて、わざと直さず俺に提示した。多分、俺は今、不本意ながらも試されているのだろう。それに乗ってやるのも悪くはない。逆に俺も試してやる。
広瀬さんは瞬きを一つすると、解説した。
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