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「なるほど、ではこんなのはどうでしょう?
新卒を採用する余裕はないけれど、基本の身についているスキルアップ目的の人材を探している企業にうまくマッチングされる……とか」
「双方にとって最良の結果になりそうですね。
よろしいかと思います」
今度は少し時間をかけて、男は3社分のプランを記入し始めた。
神1柱と男と女以外は誰もいない境内に、場違いなペンの音が続く。
理解も早いし、不明点は確認できるし、そう悪くない人材ではないか。
人間の好み――採用基準はよくわからんなとムカデのお化けは腕を組んだ。
境内を取り囲むように茂ったイチョウは、見事な金色の葉を茂らせていた。
遠からず冬が来る。
男は暖かく年を越せるだろうか。
ムカデのお化けの浅沓が砂利を踏む音は、女にしか聞こえない。
わずかに顔を上げた女に、ムカデのお化けが耳打ちする。
「それから忘れてはならないのが時期、そして待遇。
待遇は当たり前のことと思っても、有給があるとか残業代が出るとか、明記してください。
なんだかんだ理由をつけて低賃金でこき使う企業、本当にあるんで」
「わかりました。
でも、時期って?」
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