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「言葉に気をつけよ。
我には強大な力がある」
「その力で当てつけみたいに願い事を叶えた結果、ダイエット祈願の女性を拒食症にして1か月で12キロもやつれさせるなんて。
これ人間だったら傷害罪ですからね」
「どう痩せたいとは願わなかった!」
「まがりなりにも神様なんですから、そこは察してあげないと。
上司の大雑把な指示に困惑する部下みたいなこと、言わないでください」
たしかに、できない話ではない。
できるかできないかで言えば、できる。
しかも造作もなく。
けれども男は、察して当然のような態度が気に食わなかった。
「それが人にものを頼むときの態度か?
頼み事をする立場であれば、相応に下手に出て、相手に余計な手間をかけまいと細やかな気を配るのが当然だろう」
そして、石畳に打ち捨てられた――打ち捨てた絵馬を示して見せる。
「あの絵馬を見たか?
『絶対合格』じゃあないだろう、誰にものを言っている。
『精進いたしますのでナントカ大学合格のお力添えをお願いいたします』くらい言えんのか」
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