京都とか奈良とかその辺の、日に参拝客が6人くらいしか来ない寂れた神社のご神体はムカデのお化け。もふもふどころか外骨格ゴツゴツの神様がキレかかっているので、ここらでいっちょ一肌脱いでやりますか!

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 寝ぼけた頭に鞭打って、女は考える。  ムカデのお化けの言わんとすることは、理解できないわけでもない。  我が身に置き換えてみる。  なにか頼み事をされて、それに必要な情報を聞き出そうとしたとき「それくらいググれ」みたいな態度に出られたら、「うるせーやってられっか」となるのも無理はない。  そうか、そうなのか……。  それにしても眠い。  早く寝たい。 「わかりました。  あなたの言うことも一理あります。  明日、対応しますので、今日のところはこれで」  あくびを噛み殺し、木のサンダルを鳴らしながら奥へ引っ込もうとする女。  建てつけの悪い引き戸を閉じる間際、振り返って釘を刺す。 「ああ、そうだ。  投げ捨てた絵馬、元のところに戻しておいてくださいね」
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