第1話 優劣社会

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第1話 優劣社会

ジリリリリ 七月の下旬。セミの大きな鳴き声と近所で遊ぶ元気な子供たちの声が響く夏休み真っただ中の猛暑日。 うだるような暑さが連日続いた。 俺の名は金谷登(かなやのぼる)、中学三年だ。この日もフジテレビの昼番組のオープニングと共に目を覚ます。青春とは無縁の生活だ。 何故だか癖で寝起き一番にスマホをいじるが12時02分を表示するだけで特に誰かからのメッセージが表示されるわけでもない。 まあ分かっているが人間の歯を磨くという習慣と一緒だ。周りの同級生は最後の部活に汗を流す奴や、将来を見据えた進学校を目指してひたすら参考書にカーボンの指紋が付くほど熱心に勉強する奴もいた。 「なんか暑いし、怠い。またつまらない1日の始まりだ」 こんなにクソな夏休みだと感じたのは何時からだ? 子供の頃はあんなに幸せだったのに…… 炭酸の抜けたあくびをしながらスマホをいじる。 だが…… ガタン 「あんた。また塾サボったんでしょ? 」 うるさいババアの登場だ。 「今日は行くよ」 「何であんたはそうなの。隣の和也君なんて毎日24時間勉強しているんだよ」 「アイツはコンビニか?」 絶対に嘘臭え。某チェーン店のブラック企業以上だぜ。
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