第3話 白い世界

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第3話 白い世界

『大丈夫ですか。』 俺は突然意識がワープした。聞き慣れた声が強引に現実に戻し、長い夢から覚めたかの様な軽い目眩と頭痛を起こす。 どうやら俺は気を失っていた様だ。 「お前、、東か。」 目蓋を開けると目の前に飯田にいつも引き合いに出される同級生の東がいた。心配そうに見つめる東の背後の異様な景色。俺は一気に覚醒、倒れていた上半身を起こし周りを見渡す。俺の周りの一面の銀世界。 その真夏の怪異が俺の現実だと言う事を頬に触れて溶けた雪の冷たさで確信した。 俺は一度この景色を知っている。何度も何度もこの銀世界を彷徨った。だがあの時の雪は冷たさも無くこれ程寒くは無かった。 ああ、これがデジャヴというものなのだろうか。
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