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プロローグ
「こ、ここは何処なんだ? 」
目が覚めたら辺りは地平線の彼方まで続く白銀の世界にいた。
「おーい! 誰か居ないのか? 」
ひらひらと白い花びらの様に降る粉雪。
俺は新雪をギシギシと軋み音を立てながら声が枯れるまで叫んだ。
「一体どういう事なんだ…… 」
だが…… 俺はある事に気づいた。
「こんなに雪が積もっているのに全然寒くないぞ…… 」
目の前の光景に驚き、感覚もしくは脳に伝達する神経が情報処理できずにパンクしたパソコンの様に壊れたのだろうか?
雪国とは無縁の都会育ちの俺はおぼつかない足取りであてもなく歩いていると……
「英光学院…… いつも通っている塾じゃないか…… 」
そこには雪に半分埋もれ、さび付いてかすかに文字が読み取れる看板が横たわっていた。
「ここは、俺が住んでいる街なのか?」
俺は眉間にしわを寄せながら呼吸を整えて記憶を辿った。
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