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あまりにも的確な表現に、俺は改めて中井のことを見直した。わかっていても、自分一人ではどうにもならないこの気持ちを、中井なら一緒に整理してくれる気がする。思わず涙目になった俺に、中井がうぇっと声を上げた。口が悪いのも、中井のいいところだ。
「……あ~もう、泣くな。取り敢えず話してみろ」
やれやれといった感じの中井に、俺はぽつりぽつりと話しはじめた。
「……広瀬さんの誕生日なんだけど、プレゼントはいらないって言われちゃって」
「ん~あ~……、それな。前にも言ったし、お前もわかってると思うけど、割と妥当な話というか、むしろ良心的というか。まあ、わかってんだろーけど」
大方の予想はついていたらしく、中井はやんわりと俺を諭した。
「別にお前らがどうこうってわけじゃなくて、どんなカップルでもいつ何が起きるかわかんねーわけだし。来年の誕生日は楽しみにしてるからって、そう言ってくれたんだろ?」
「うん……」
「目先のことより、来年もその先も、ずっと一緒にいたいって思ってくれてるとか、めちゃくちゃ愛されてるじゃん。それに今年の誕生日だって、一緒に過ごす約束はしてるんだろ?」
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