猫の王様 ~EP.2 九条くんと誕生日の話~

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 こ、これは俗に言う、恋人つなぎというヤツでは……っ! 指がっ! 広瀬さんの指が俺の指と絡まりあって! 何か、密着感がすごい! エロい! ポケットの中で見えないとはいえ、公共の場で許されるのか! いや、ポケットの中で見えないからこそ、余計エロいというか、何というか……。  動揺しすぎて自分でもよくわからないことを心の中で叫んでいると、広瀬さんが前を歩いている男女を指さして言った。 「ちょっと、真似してみたくて。……嫌?」 「嫌、じゃないです、けど」  ふと疑問が浮かび、俺は気が進まないながらも広瀬さんに尋ねた。 「……広瀬さんて、恋愛ドラマとか、よく見るんですか?」  広瀬さんは瞬きを一つし、言った。 「推理ドラマとかなら、たまに?」
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