猫の王様 ~EP.2 九条くんと誕生日の話~

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 知ってた。広瀬さんて、結構天然だよね。もちろん、推理ドラマだろうが何だろうが、恋愛要素があるのも多いだろうし、コートのポケットに手を繋いだまま入れるシーンだって、目にしたことはあるに違いない。恋人つなぎだって、全く知らないということはないだろう。ただ、それを萌えシチュエーションだとか、恋愛テクニックだとか、考えて行動してるわけじゃないところが天然というか、イケメンというか、本当に天性の俺殺しというか。いや、俺じゃなくても完全瞬殺確実だけど!  もちろん、天然すぎて俺以外の人間に同じことをされたらたまったものではないが、広瀬さんに限ってその心配がないのもわかってはいる。何故なら、極度の人間嫌いだから。そこが安心でもあり、ちょっとだけ哀しくもある。だから敢えてそこを無視し、俺は念を押すように言った。 「俺以外の人に、こういうことをしたら絶対にダメですからね!」 「大丈夫。九条くん以外の人にはできない」
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