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「そうだけど! 食事をご馳走するのもダメだって。でもそれじゃあ、いつものデートと同じじゃん! せっかく誕生日なのに! 俺だってお祝いしたいのに!」
「あ~、まあ、そうなんだろうけど。お前に負担をかけたくないんだろ。というか、向こうの立場から考えたらさ、本当は普段のデートでも割り勘じゃなくて自分が払いたいんだろうけど、働き始めたばかりだからできないのを不甲斐なく思ってるとか、いろいろあるんじゃねーの? いくら男同士でも、年齢的にはあっちのほうがずっと年上だし、お前はまだ大学生だし」
「…………」
わかっている。本当はちゃんとわかっている。中井がさっき口にした広瀬さんの気持ちも、そんな素振りは全く見せないけれど、俺は気づいている。というか、普段のデートのことならば、俺はむしろ今まで通り自分の分は自分で払うスタイルのままがいいと思っている。俺は広瀬さんと対等でいたいから。
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