【エリア6:ノヴァ山】Scene:13. 夜空の洞窟

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「で、でも……」  ここを降りたら、たぶんもうボクは引き返せない。  今までの自分とサヨナラしなきゃならなくなる……きっと。 『勇気を出すぴょ、ミンク。オイラたちがついてる。……ずっと』  ラピがボクの腕からすり抜けて、ぴょんと石段の先に降り立った。 「……いいから来い。行かなきゃ何も始まらないし、何も終われない。この世は終わりと始まりで成り立っている」  ジェダさんがボクに手を差し伸べる。 「ジェダの言う通りだ。降りて行こうミンク。あの下の中央に、君は立たなければならない」  そしてネフラさまの手もこちらへ。 「……はい」  左手をジェダさんに、右手をネフラさまに預けて、ボクは螺旋の石段を降りていった。  見下ろしたすり鉢の底は石畳。  その中央に、スポットライトのような円形の星明りが降り注いでいる。魔法陣にも似た光のサークルの真上を見上げると、大きな噴火口がぽっかりと開いていた。  夜空、降臨。 (なんて綺麗な……祭壇みたいだ)  静謐の美しさ、その中に確かな力強さがある。  ここまで来たらもう迷いなんかない。 「ありがとうジェダさん、ネフラさま。ここからは、……ひとりで行ける」  ボクは二人から手を離して、中央のサークルに向かった。  周囲の岩壁からは、たくさんの瑠璃が顔を覗かせている。  震えるように、囁くように、星を集めて光り輝く。 (……胸が、熱い……)  ボクは夜空が降りる光円の中に、ゆっくりと足を踏み入れた。  その瞬間。 「……っ……!」  星明りが回る。  いや、上から注ぐ光と周囲の瑠璃の光が溶け合い、混ざり合い、僕を取り巻いて螺旋を描く。  ──ミンク……! (え……?)  ボクを呼んだのはジェダさん? ネフラさま? ラピ? それとも……。
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