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こんなコトしてくれるなんて。人目が無くなった一瞬の隙をついて、褒めてくれてご褒美まで?
ジェダさんがなんかおかしい!?
「やめろその ”ジェダさんが狂った!” みたいな顔。後悔したくなるだろーが」
「し、しないで……。というか、狂ったとまでは……」
「まあ、たまにはな。誰も見てねえし」
『オイラは見たぴょ』
「わたくしも見ましたが」
二つの声はボクのポーチと背後の大岩からヒョッコリと顔を出してる、ラピとフルウさんだった。
「……っ」
「…………フルウ、ミンクについててやってくれ。それからクソウサギは俺と来い!」
ジェダさんがラピの首の皮をつまんでポーチから引っこ抜いた。
『え!? なになに、オイラをどーするぴょ?』
「今までしれっと避難してやがって。別れ道は三つあった。お前もそのうちの一つを行って、抜けられるか確かめて来るんだ。少しは役に立て」
『断るぴょ。妖魔に会ったらどーする』
「食われるか逃げるか、どっちでも好きにしろ」
『イヤだぴょーー!』
ピョコピョコ暴れるラピを持ってジェダさんは岩場を出て行き、代わりにフルウさんが入ってくる。気まずいけれど、ボク一人じゃ本当に妖魔が来たらどうしようもない。
「あ……あの、さっきの事……」
「心配しないで。ネフラ様には内緒にしておくよ」
フルウさんは、ボクには少しラフな話し方をしてくれる。それが仲良くなれた証のようでなんだか嬉しい。
「それより身体の調子を整えよう。少しお腹に触れてもいいかな」
「え、フルウさん回復術も使えるの?」
彼も平岩の上に腰を下ろし、ボクにふわりと微笑みかける。
「身体の殆どは水で出来ているんだよ。水ならわたしの分野。ただし回復というより整えるだけですが」
「じゃあ……お願い、します」
長い指を持つ手がボクのお腹にそっと触れた。
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