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なんだか可愛い。よく見ると顔も可愛い、ような気がする。
シールドのお陰か必要以上に傍には寄ってこないし、それどころか向かう先をみんなで率先して照らしてくれるようになった……かな?
「ご褒美あげたいけど、何も持ってないし。……これいる?」
ボクはポーチから薬草をほんの一房取り出して、上の岩に差し向けた。敵に薬草なんてどうかとは思ったけど、今はもう害はないからいいよね。
途端にその薬草に群がって、コウモリたちがはむはむと口を動かしている。
「みんなで仲良く分けてねー」
よし、と気持ちを改めて外の様子を窺おうとしたところで、フルウさんがあっさりと戻って来た。
「気のせいだったようです。怪しい者も妖魔もいませんでした」
「良かった! ホッとしました」
滑るような足取りでこちらにやって来て、彼がまた傍の平岩に腰を下ろす。そしてさっきと同じように、ボクのお腹に手を置いた。
「あ、もう大丈夫です。おかげですごく楽になった……」
「申し訳ありません。先ほどわたくしは嘘を吐きました」
「え?」
青い睫毛を微かに伏せて、フルウさんがじっと見つめてくる。その手をボクのお腹に置いたまま。
「嘘……って」
「ポルトくんは、わたくしだけに打ち明けてくれたのです。兄にも言えずに一人で抱え込んで」
囁くように潜められた声、ボクを捉える青い視線に吸い寄せられる。
「彼は今、心と身体の疼きに耐えきれず苦しんでいます。……あれは辛い。寝食も忘れ、ただひたすらあの夜を思い返して……」
「……あの夜?」
フルウさんの艶やかな唇が薄く笑った。
「もちろんジェダ様です。先日、何も知らない彼を無理やり犯した。けれどポルト君はその時の快楽に囚われてジェダ様を求めている……」
「……ッ!!」
「この上なく激しく、官能的な夜だったそうです」
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