【エリア6:ノヴァ山】Scene:13. 夜空の洞窟

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 だから彼の口から聞かない限り、誰に何を言われてもどんな証拠を突きつけられても、そんな事実は無いんだ。 「たぶん、弟くんの事は何かの間違いだと思うから」 「ポルト君は嘘を吐くような子じゃありませんよ」 「あ……、その子が嘘ついてるとかじゃなくて、その……。うまく言えないけど、事実とはちょっと違うんじゃないかな」  どう説明してもわかってもらえる自信がない。  案の定、皮肉な笑みを浮かべるフルウさんを、コウモリたちの炎がゆらゆらと照らし出す。 「何も違いませんよ。初めてだったポルトくんを(もてあそ)び、かなり強引に抱いたようです」 「抱いた……、え?」  突然この場に落ちてきた、決定的な違和感。 「労りの欠片もなく乱暴に貫き、引き裂いた……。ですがジェダ様はそれを悦びに換える(すべ)を持っている」  独り言のように、どこか陶然とフルウさんが呟く。その言葉にボクは思わず彼の腕をギュッと掴んだ。 「……どうしました?」 「え、えと……! やっぱりそれは、ジェダさんじゃないよ……」  怪訝にひそめられた細い眉に、ボクはなおも続ける。 「だって。……ほら、フルウさんだって知ってるでしょ? ジェダさんはソッチじゃない……!」 「……え」  恐る恐る聞いたことがある。ボクが受け入れる方も覚えなければいけないのかと。  するとジェダさんは、 『ふざけんな。後にも先にも俺はコッチだけだ。お前は覚えなくていい!』  と、かなり食い気味に言い渡された。 「暗い部屋で、誰かがジェダさんの名を(かた)って……顔は見えなかったんじゃない!?」 「さあ……そこまでは」  詰め寄るボクにフルウさんが言葉を濁したその時、岩場の外で小石がジャリと小さく音を立てた。 「……っ!」 「ミンクくん、誰か来ます。……この話はまた後で」
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