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「ミンミン……」
様子を伺っていたアモネさんも事態を理解したのだろう。ボクを見つめたままズルズルとその場に崩れ落ちた。
「ふ……ふふ、ははははは……!」
勝者の異様な高笑いに、ボクだけでなくその場の誰もが声を失い立ち尽くす。
「そうだミンク、お前は我の召喚霊……。我に従い、我が望むまま生きよ」
(……ポルト、くん……)
横たわった小柄な遺体が前髪からサラサラと宙に溶けていく。
あの身体が全てこの薄闇に消えてしまったら……終わり。
「ボクは、本当にルークスには逆らえないんだね……」
「それが我らの絆。さあ帰ろう」
「絆……? これが」
ルークスがローブを広げてボクを包もうと片手を回す。
「ボクは、これが絆だなんて思えない」
その手を押し留めて、傍らの召喚主を見上げた。
「こんなの、ただの……支配だ」
「支配……結構だ! お前が何を考えようと誰を想おうと、我は正当な召喚主。生涯お前を征服支配して頭上に立つ……それで良い!」
いいと言うくせに、ルークスの声は悲哀に濡れている。でもこの人は哀しみを怒りと殺戮にすり替えるしか知らない……完全な妖魔。
「……ルークス」
だから、やっぱりこれしかない。
「ボクとの召喚契約を……解除して」
眉をひそめるルークスは、どこか呆れたような気を滲ませる。
「愚問だ。そんなモノに応じれば、双方の魔力を含め己が力を全て半減させてしまう。なにより我はお前を手放す気はない」
「だったら」
ボクは彼の額に刻まれた自分の魔法陣を見つめた。
「強制的に解除するしかないね」
その言葉に、ルークスより先にジェダさんとネフラさまが顔色を変えた。
「な……! バカ言ってんじゃねぇミンク!!」
「ミンク! 駄目だ、それは……、ああっ!?」
駆け寄ってくる二人が、ボクとルークスを包む眼に見えないドームに阻まれる。
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