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「なんだこれ! ネフラ、近づけねぇぞ!?」
「これは……おそらく審判の領域。契約に関する協議が成される時、当事者たち以外が関与できないよう出現する場だ」
そう、何人たりとも召喚契約に口出しする事は許されない。
「……強制、だと?」
ルークスは僅かに頬を強張らせたものの、まだ顔に笑みを貼り付けている。
「ボクにはそれ以外ないから」
心は想像してたよりずっと静かだ。
運命とは、対峙する時にごく自然にそこに用意されている物なのかもしれない。
「バカバカしい……。お前は強制解除の意味も理解していないのだな」
「…………」
知ってるよ、ちゃんと。
以前、ジェダさんとの契約解除をネフラさまに迫られた。その時に大まかな事はジェダさんが教えてくれたけど、なんとなく気になって自分でも調べたんだ。
(解除を希望する者が、その契約の魔法陣に触れて宣言するだけ……)
コアクトス・ディスペラと。
……それから、その代償も。
「……何だその目は。わかっているのか? コアクトスを断行すれば、お前の命の器はその場で崩壊するのだぞ!」
「全部じゃない。大事な人たちにお別れを伝える日数くらいは残される」
でもその日数はポルトくんの為に使う。二十日間分には足りないかもしれないけど。
(このまま消滅するよりはいい。後はみんながついてるんだ、きっと立ち直れる……)
ジェダさんを流し見ると、審判の場をガンガン攻撃してる。そんな事をしてもボクたちを隔てるシールドはびくともしないのに。
「本気なのか……? なぜそこまでする必要がある! そんなにポルトの命が惜しいか!?」
「惜しいよ。ボクのせいで亡くなる命なんてあっちゃダメだ」
きっぱりと言い渡すと、ようやくルークスから余裕が消えた。
「ならばポルトを救うのだけは許そう。どうだ、それなら……」
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