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「だから僕がしょっちゅうお部屋に押しかけたら邪魔だって。一緒のお布団で寝て一緒にお風呂も入るくらいの仲良しなんだぞって……」
「…………」
『ぴょ……! ……~~……!!』
「ジェダさん、ラピ逝っちゃうから。放してあげて」
ぬいぐるみだけどかなり高度な魔法でリンクしてるし、本体に影響ないとも限らない。
「ジェダさま、ホントなんですか?」
ずいっと詰め寄るポルトくんは人見知りだって聞いてたけど。
「そんなに怖い顔なのに……。優しくて可愛いミンクさんと仲良しなんて変!」
……その割にかなりの怖いもの知らず。
「その怖い顔で脅して、無理やり仲良しの座についたんじゃない?」
「…………」
ジェダさんが白目をむいたラピを握ったまま固まってる。
仕方なくボクは彼の手からラピをそっと抜き取って振り返った。
「違うよポルトくん。ボク怖い顔の人が好みなの」
「え……」
「……ッ!?」
「シャワー浴びてる時は雨に打たれる飢えた悪鬼みたいだし、寝顔は肉食獣がお腹いっぱいで寝てるみたいだし、サイコー♪」
「……ッ……ッッ!!!!」
『……ぴ』
お風呂どころか一緒に寝てもくれないけど、こう言っておけば期待を持たせないで済むだろう。
「そ、そんな怖いのがタイプなんて……」
ポルトくんは、助けてくれたボクをちょっと特別に感じているだけだと思う。
「でも君を邪魔だなんて少しも思ってないよ。来たい時はいつでも来て。あ、でもドアを開ける前にノックだけはしてくれる?」
「は……い」
「じゃあコレあげるから、今夜はもう自分のお部屋で寝てね」
彼の手にラピを押し付けると、それを大事そうに抱えてポルトくんはフラフラとドアに向かっていく。
「ミンクさん……」
「ん、なに?」
ドアの前で振り返り、ちょっと目を泳がせてから彼は思いきったように口を開いた。
「僕のこと、助けてくれてありがと……。ミンクさんは命の恩人で、でも減っちゃった寿命の分、僕セキニン取るから! だから……!」
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