Scene:22. お別れの星

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 ジェダさんの肩を掴み、伸び上がって唇を重ねた。何も言わず、ただ応えてくれるそのキスはとても優しい。 (優しくて……痛い)  ひたすら触れては離れ、離れては触れる長いキス。時折小さく聞こえるリップ音がボクたちをくすぐる。  いっそこのまま世界が終わってしまうなら、それでいいのに。 「ねえ……ボクの魔法陣(マギアグラム)、まだちゃんと見てないでしょ。……見て」  彼の膝の上でナイトローブの裾を捲り、左の下腹部を晒した。  おへその左下から鼠径部にかけて、円形の紋様が赤紫色に浮き上がっている。 「……綺麗だな」  そう呟いたジェダさんの手を取り、それを赤紫の図形に押し当てた。  ボクがボクである証の魔法陣(マギアグラム)。そのボク自身に、触れて欲しい。   「なんだ。誘ってんのか」 「…………そう」  手を離すと、彼の指先がボクの望み通りに紋様を辿り始める。でもその途端、急に不安が胸に渦巻いた。 「ジェダさんは嫌……じゃない? その、もうボクなんか……」 「違うだろ」  濃緑の瞳がボクを見つめて悪戯(いたずら)に笑う。 「忘れたのか。俺は命令がないと手が出せないんだぞ」  ああ……本物はやっぱり自分で決めたルールを曲げたりしない。   「なぜ俺に遠慮をする。何を気にする必要がある。お前は召喚主(ロード)だろう。思うままを命令しろ」 「ボクの、思うまま……?」 「どんなに独りよがりでも、勝手でも乱暴でもいい。俺はいつだってお前の本音しか聞きたくない」 「……じゃあ」  ボクはジェダさんの両手を掴み、ソファに(はりつけ)にして彼を見下ろした。 「ジェダイトに命令。……ヤラせろ」 「は、最っ低なロードだな……」  クスクスと笑う唇にボクは小さくキスを落とした。 「でもちょっとゾクッときたぞ」 「やだ。もう言わない、ふざけすぎた。……恥ずかしい」 「本音なんだろ?」  何もかも見透かすような瞳に、余計な事まで口走ってしまいそう。 「うん……。ジェダさんにしかこんな気持ちにならない……」 「……だったら従うしかねぇな」  重ねた唇を(ほど)いて、互いのローブを床に落として。  瞬く間にボクたちは甘い吐息に溺れていく──。
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