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ジェダさんの肩を掴み、伸び上がって唇を重ねた。何も言わず、ただ応えてくれるそのキスはとても優しい。
(優しくて……痛い)
ひたすら触れては離れ、離れては触れる長いキス。時折小さく聞こえるリップ音がボクたちをくすぐる。
いっそこのまま世界が終わってしまうなら、それでいいのに。
「ねえ……ボクの魔法陣、まだちゃんと見てないでしょ。……見て」
彼の膝の上でナイトローブの裾を捲り、左の下腹部を晒した。
おへその左下から鼠径部にかけて、円形の紋様が赤紫色に浮き上がっている。
「……綺麗だな」
そう呟いたジェダさんの手を取り、それを赤紫の図形に押し当てた。
ボクがボクである証の魔法陣。そのボク自身に、触れて欲しい。
「なんだ。誘ってんのか」
「…………そう」
手を離すと、彼の指先がボクの望み通りに紋様を辿り始める。でもその途端、急に不安が胸に渦巻いた。
「ジェダさんは嫌……じゃない? その、もうボクなんか……」
「違うだろ」
濃緑の瞳がボクを見つめて悪戯に笑う。
「忘れたのか。俺は命令がないと手が出せないんだぞ」
ああ……本物はやっぱり自分で決めたルールを曲げたりしない。
「なぜ俺に遠慮をする。何を気にする必要がある。お前は召喚主だろう。思うままを命令しろ」
「ボクの、思うまま……?」
「どんなに独りよがりでも、勝手でも乱暴でもいい。俺はいつだってお前の本音しか聞きたくない」
「……じゃあ」
ボクはジェダさんの両手を掴み、ソファに桀にして彼を見下ろした。
「ジェダイトに命令。……ヤラせろ」
「は、最っ低なロードだな……」
クスクスと笑う唇にボクは小さくキスを落とした。
「でもちょっとゾクッときたぞ」
「やだ。もう言わない、ふざけすぎた。……恥ずかしい」
「本音なんだろ?」
何もかも見透かすような瞳に、余計な事まで口走ってしまいそう。
「うん……。ジェダさんにしかこんな気持ちにならない……」
「……だったら従うしかねぇな」
重ねた唇を解いて、互いのローブを床に落として。
瞬く間にボクたちは甘い吐息に溺れていく──。
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