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ネフラさまはこの国きっての魔導召喚士だけど、実は彼自身がネフライトという宝玉から生まれた魔精霊。そしてオルディウス王の召喚霊なのだ。
「……ボクも王さまとネフラさまみたいに、自分の召喚霊と仲良くなれるかな」
ボクの独り言にネフラさまが柔らかく微笑む。
「なれるさ。主従関係ではあっても互いを理解する心を持ち、感謝と愛情を忘れなければ」
彼の大きな手に、ボクの少し水色掛かった金の髪が優しく撫でられた。
「ミンクなら大丈夫、私が保証する。何も心配いらないよ」
「…………」
不安がないといえば嘘になる。だってボクはネフラさまと離れて町の外に出た事はない。外のエリアには人を喰らう恐ろしい魔獣や妖魔がウロついているのだ。
「君は魔法は苦手だし、力はないし、不器用だし、剣の扱いも下手だけど……」
「……だけど、何かイイ所ってあります?」
「…………」
ボクの髪を撫でる手が止まってしまった。
「……そうだ、逃げ足は速い!」
「それだけですよね、やっぱり」
だからボクが魔導学校を卒業しても、ネフラさまは召喚獣契約のチャレンジをなかなか許可してくれなかったのだろう。
「いや、スピードは大事だ。それに今回は頼りになる付き添いを用意したから」
「え、ボク一人で行くんじゃないの!? 誰?」
それは心強い。てっきり単身で向かうものだとばかり思っていた。
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