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【エリア2:カクトス砂漠】Scene:2. 迷い仔はこじらせてる
まんまる満月が明るすぎる真夜中のカクトス砂漠。
ソレとボクとの出会いはあまりにも突然だった。
「……もしかして」
集合場所の王都外、砂漠に生えた大きな一本サボテンの前。
『…………』
フンスフンスと忙しなく鼻をピクつかせ、ソレがボクを見上げる。
「もしかして、ボクの付き添いって……キミ?」
つぶらなアーモンド形の瞳、全体的に身体は夕焼け色で胸元だけがよだれかけみたいに白い。そして長くてテロンと垂れた……フワフワの耳。
(コレ、どう見ても垂れ耳のウサギ……)
ボクは足元の仔を両手でヒョイと抱き上げた。持ってみると掌に乗りそうなほど小さくて軽い。
「わあぁ、フカフカ。可愛いなぁ」
ネフラさまはきっと驚くと言ってた。でもコレは驚くとかいうレベルじゃない。
「やっぱりこんなのが付き添いなワケないよね。あははっ」
『……バッキャロ』
目の前のピクピクお鼻が……しゃべった。
「ばっきゃろ……?」
『オイラがそうに決まってんだろ、テヤンデェ』
「てやんでー?」
事態が飲み込めない。兎の獣人には会ったことがあるけど、それはボクらと同じような体格で、こんなまんま ”THE うさぎ” って感じじゃなかった。
『うぴょ? オイラの可愛さに見とれてんのぴゃ? こーのスットコドッコイ♪』
「ごめん……語尾につく言語が所々飲み込めないんだけど」
『うちゃぎ語だ、気にすんな。でもそこらの獣人なんかよりずっと知識は深いし役に立つんだっちゅーの!』
という事は語尾が微妙な、ただの喋るウサギ(自称・頭は良い)という事でイイらしい。
「え、じゃあホントに!? ホントにキミ、ネフラさまが用意してくれた人なの?」
「ピンぴょーん♪」
人、じゃないけど。
『で? こんな真夜中にどこイクんだっぴょ?』
「だから炎の魔獣、フランマさんの棲み処へ……って、キミそれも知らないの!? ものすごく怪しいんだけど」
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