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半同棲のような日々。当然ながら、ふたりで愛しながら入浴を楽しむこともあった。だがある時、琴子が一人でゆったり入って念入りに『女の準備』をしてから英児の元へ行くと、彼が『全然、違う』と喜んでくれた時があった。肌の温度から、匂いから、柔らかさ。全てが違うと彼は言う。週末の念入りなお風呂なんて、女の子はよくすること。『今までどおりの湯浴み』をしただけなのに、また英児特有の感覚触覚なのか彼は『すごく違う』と繰り返し琴子の肌をいっそう愛してくれる。『待っている時間もいいな。琴子が俺のために綺麗にして、こんな身体になって来てくれると思うとスゲーそそられる』。そう言ってこのごろは『俺、待っている』と寝室で大人しく待っていてくれる。
「こっち、来いよ」
ナイトテーブルにある灰皿に煙草を消した手を、裸になった琴子に英児が手をさしのべる。
いつもならここで、裸でも厭わずに彼のところへ抱きついてしまう琴子だけれど。今日はちょっと違う気持――。
「琴子?」
ベッドサイドで、琴子は素肌に一枚の上着を羽織る。今日贈ってもらったばかりの『龍星轟の半袖ジャケット』。
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