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23.日曜の恋人ってやつ、やろうぜ
とりとめない夜を過ごした翌朝は気怠い。
さらに、真夏の朝は日射しも蝉の鳴き声も、そして肌にまとわりつく汗が浅い眠りを妨げる。
「う……ん」
気持がよいのはサラサラしている新しいシーツと、そして甘い疼きが鈍く続く、昨夜愛された痕。
寝返りをうつと、ちょうどそこが日射しが入っているところ。まどろむ瞼に突き刺す真っ白い光。琴子は余計に唸ってしまう。うっすらと目を開けると、隣で寝ているはずの彼がいなかった。
それでもここは彼の自宅だからどこかにいるのだろうと思い、日陰に寝返りまたうとうと。
そのうちに近くで鳴いていた蝉がどこかに飛んでいった。その代わり、遠くシャワーの音が聞こえてくる。
ああ、シャワーを浴びていたのね。……私も、浴びたいな。汗だらけ。それに、昨夜の痕がそのまま。
それでもうとうと。シャワーの音がやみ、奥のバスルームからこのベッドルーム前の廊下をリビングへと向かう足音。彼はもう起きて動いている。
じっとりと湿気た黒髪をかきあげ、琴子はやっともっさりと起きあがる。
素肌のままだし、髪も乱れている。こんな寝起きの顔、誰にも見せられない……はず。
「起きたか、琴子」
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