23.日曜の恋人ってやつ、やろうぜ

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 そして英児は、そんな琴子を見つめて笑っている。まだ寝ぼけている琴子のそば、ベッドに腰をかけた。英児の手が、起きあがったまま丸裸でベッドでグラスを傾けている琴子の黒髪を撫でる。くしゃっと乱れてもつれている黒髪を優しくなおしてくれる手つきに、琴子は胸が熱くなってしまう。  寝起きの恋人を、愛猫のように撫でてくれるけれど、英児の笑みが、申し訳なさそうに少しだけ曇ったのを見る。 「結局、お母さんに甘えちゃったな」  その一言に、琴子も少しだけ黙ってしまう。 「大丈夫よ。母から『好きにしなさい』と言ってくれたんだから」 「うん。まあな、そうなんだけど……」  娘を預けてもらえた男として、でも複雑な心境のよう。わからないでもない……。琴子も同じ心境でもあるから。  少し前。週末も頑張って反対方面郊外の空港町まで通う娘を見て、母がついに『週末ぐらい、好きにしなさい』と言ってくれた。
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