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⑨
これが最後の手紙になるかもしれません。
お母さんは明日からまた入院で、多分帰って来られないと思っています。みんな教えてくれないけど、そうなんでしょう?自分の体だから、分かります。
最後だと思うと書きたいことがたくさんありすぎて、何を書いたらいいか分かりません。
最近寝てばかりのお母さんは、あなたの夢ばかりを見るんですよ。
生まれてきてくれた時、目を開けた時、初めて「ママ」と言ってくれた時。
入学式、卒業式、成人式、結婚式。
たくさんのあなたを見てきました。
たくさん一緒に笑ったね。たくさん一緒に泣いたね。これからはそれが出来なくなることが、寂しくて仕方ありません。
ただ、あなたが幸せになっていてくれればいいと、ここ最近はずっと遠くから見守っていました。
「仕事が忙しい」と言うあなたの顔はとても嬉しそうだったから、きっとたくさんの人を幸せにしているのだと思うことにしていました。あなたが頑張っていることで、幸せになってくれている人がきっといる。そう思えることがお母さんの誇りでした。
でも、今思うことは、ただあなたのそばにいたい。
知らない人の幸せを願うよりも、今はあなたとお話しがしたい。
ねえ。お母さんのこと、忘れないでね。
お母さんはずっとずっと、この世に居なくなってもあなたのことが世界で一番大好きで、大切です。
そのことだけは、忘れないでね。
愛しています。
私の元に、生まれてきてくれてありがとう。
心配性の母より。
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