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警察が来て事情を説明した。ガードレール代を支払う請求が来ると言われた。レッカー車と中古車屋さんの家田という男の子が来た。男の子と言っても二十五歳だ。美晴は家田の車に乗って肩を落とす。
「お母さんの車をダメにしちゃった」
「でもぶつかったのが対向車じゃなくてよかったよ」
「だけどお母さんケチだから自分が運転する場合だけの対物保険にしか入ってないの。私、車を直せる貯金が無い」
美晴は項垂れる。
「そうだ。お昼はまだでしょう。僕もまだなんだ。とんかつでも食べようよ。お金をどうするか考えよう」
美晴はうんと頷いた。うじうじ考えても何が変わるわけじゃない。家田の言う通り胃に何か入れて脳にも栄養を与えなければいけないだろう。
とんかつ屋さんに入ったのは一時だ。四人掛けの席に案内されると二人ともヒレカツ定食を頼む。ご飯とキャベツがお代わり自由だ。
「今日見た感じだと修理代は結構かかるんじゃないかな」
「そうだよねー、お母さんには帰ってから土下座しよう。自分の車だったらよかった」
相談しているとヒレカツ定食が来た。美晴はお味噌汁を啜る。
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