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 水商売って正直あまり好きではない。美晴(みはる)はそう思う。給料はいいかもしれないがキャバクラで働く子の気持が考えられない。自分は貧乏でも昼間働くのがあっているんだな。  美晴はずっと一人暮らしだった。築年数がだいぶ経ってるオンボロコーポに住んでいる。和室が二部屋あって台所が付いている。美晴は二十八歳だ。目が大きくて色が白い。埼玉県に住んでいて中古車屋さんの事務をしている。彼氏は居ない。前は不動産屋の彼氏が居たのだが別れた。親はいるが両親は美晴が高校の時に離婚している。母親は妻子ある人と付き合っていてだらしがない性格だ。いつもお金が無いと言って美晴のところにせびりに来る。男からお金を貰えばいいと思うのだが母の彼氏は自由に出来るお金が無いらしい。  今は十一月の初めだ。朝日が昇るのも遅いし夕日が落ちるのも早い。中古車屋さんに行く途中の街路樹は紅葉して淡い日の光を吸収している。  今日は朝の八時に起きた。仕事の日は六時に起きるのだが今日はシフトが休みになっている。美晴はコーヒーを飲んでテレビを観た。朝のニュースをやっている。今日は晴れだそうだ。一人で山にでもドライブに行こうかなと思った。秩父の山は紅葉が綺麗だろう。
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