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三五一三号室の大城家に、同じフロアの主婦が子ども連れで遊びに来ていた。昼どきにお互いの家を行き来し、スイーツを食べながらのおしゃべりを楽しむのだ。
「まいかちゃん、あそぼ」と、訪問してきた女の子が、遠慮なくリビングに上がりこむ。
二人は同い年で、まだ三歳だが、最近ママごと遊びを覚えて、ときどき大人の口調を真似るのが可愛らしい。
二人はさっそくシルバニアファミリーで、おママごとを始めた。
おしゃべりがひと段落し、舞香ママが娘に声をかける。
「なにごっこしてるの?」
「きょうだいごっこ」
「え? そんなごっこあるの?」と笑う。
舞香が仔ウサギの女の子をママに見せ、「このこがセツコちゃん。こっちがセイタロオ。おにいちゃんといもうとなの」と説明する。
「せつこ? ずいぶん地味な……舞香がお名前つけたの?」
「ひみつー」と二人の女の子は顔を見合わせて、またママごと遊びを再開した。
「セツコとセイタロウって、なんかのテレビで観たのかしら……」
二人のママは不思議そうに、首をひねった。
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