純情ふわぐる恋心

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 さてさて、わたし。彼女と彼のどちらが好きなのでしょう。  自分では決められなくて。  じゃあ、わたし以外の誰かに決めてもらおう。左が彼女で右が彼。  か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り・に……。  いやダメだ。神様に決めてもらうなんて、ちょっとずるい気がする。  やはり自分の恋の芽生えと行く先は自分でケリをつけなきゃいけない!  ……なんてね。  くちびるに指を当てて反省した。  だからわたし、神様になる。  っていうか。  神様の気持ちになってみる。  だから校舎裏の自転車置き場に二人をまとめて呼び出してみた。  彼女と彼とわたし。  三角形の頂点に三人が立っている。  それぞれの角に立つ二人に向かって、わたしは口を開く。 「あなたが好きです」 「俺を? 誰が」  女子が二人で男子が一人。  彼がわたしと彼女を見て戸惑う。  だからわたしはきっぱり言う。 「違わないけど違います」 「意味わかんないけど」  見ていた彼女が苦笑する。 「あー。じつはわたしもあなたたちを平等に好きで、一人に絞れなくて。わからなくて。申し訳ないくらいに困ってるの」  わたしは頭をぼりぼり掻いてみた。  すると彼がこう言った。 「じゃ、三人で遊園地に行くか」  なぜかとても嬉しそうにしていて、釈然としなかったけど、彼女も行ってもいいと言ってくれたので、次の日曜日にさっそく出かけることになった。
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