40人が本棚に入れています
本棚に追加
「おう、愛海!」
遠藤良一が駆け寄ってくる。
そしてその後ろからは…。
「しりとりやんない?」
「はぁー?」
愛海と遠藤は付き合っていて、それはクラス公認だった。
それを私は羨ましく思っていて。
中3だし、彼氏の1人くらいいてもいいんじゃないか?
いや、1人でいい。
優しくて頼りがいがあって、できればイケメンで、私のことを大切にしてくれるような…。
ふと我に返る。
視線を感じたからだ。
ギロリと私を睨む、恐ろしい視線に。
南田祐希(ゆうき)。
学校1のヤンキーだ。
それがどうして良一とツルんでいるのかは分からないけど、将来は構成員だとか、人を殺したことがあるとか物騒な噂が絶えない。
その強面が、なぜか私を睨みつけてくる。
いや「なぜか」は、よく分かっていた。
なぜなら私たちは__。
「ねぇ、やろうよぅー!」
媚びっ媚びの声で良一の腕にしがみつき甘える愛美を、圭子が凍てつくような目で見ている。
「しょーがないなー。祐希もやるだろ?」
「あぁ」
短く祐希が答える。
久しぶりに聞いたな、祐くんの声。
最初のコメントを投稿しよう!