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序 沫雪のまどろみ
二度目に抱かれた夜は、白羅にとって特別なものになった。
強引に身体を開かされた初めてのときと違い、心を許し合い、求め合った後に到達した快感の激しくも切ない一瞬に、酔った。酔い痴れた。
自分がこんなにも淫らに声を弾ませ獣のように息を荒げ、乱れるのかと羞恥に染まりながら。
けれどもこの行為をやめてと訴えることもできず、受け入れた結果、彼女は彼の前で意識を飛ばした。
さながら白銀の大鷲となって天を飛翔したかのように。
「……かわいいよ」
意識を失い肢体を投げ出した少女を受け止め、木梨はくすりと笑う。
この世界で自分と彼女は血を分けた同腹の兄と妹だ。
姦通は罪だと知っても、それでも我慢がきかなかった。
なぜなら彼女は彼にとって、特別な女性だから。
「俺だけの、雪の結晶」
もう、誰にも邪魔はさせない。
白羅を抱いたことに後悔はなかった。
むしろ、遅すぎたように感じる。
春の兆しが垣間見える美しいこの静謐な世界で、彼女は木梨の妹という立場にある。それはどうあがいても変えることのできない、禁忌の関係。
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