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しゅんと項垂れた舞雪を見て、怒ってないよと上原は苦笑する。
「じゃあ軽井沢さん、眼科で精密検査をするから、いったん待合室に戻って」
渡辺が舞雪に呼びかける。舞雪は頷いて立ち上がる。
「単語帳没収な」
上原が舞雪の制服のポケットから、単語帳を取り出し、意地悪く笑った。
* * *
ぷしっ、ぷしっと左右の瞳に風が当たる。
「はいお疲れ様です、次は視力を測るので手前の椅子に座ってください」
検査技師に言われるままに、舞雪は検査を行う。両目共に視力は悪くなかった舞雪だが、裸眼視力が随分落ち込んでいたことを知り、唖然とする。
……こんなに視力落ちてたんだ。
「じゃあ先生に診てもらいましょう」
暗幕で遮られた眼科診療室を指さされ、舞雪は頷く。
「軽井沢さん、どうぞ」
随分若い男の人の声だ。看護師がカーテンを開けて、舞雪に入室を促す。
暗くてドクターの顔はよく見えない。機械の前に座らされ、台の上に顎を乗せろと指示される。
「外見上は特に異常は見られないな……次、眼底見せて」
顕微鏡のレンズみたいなものが、目の中を覗きこんでいる。
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